目次
はじめに
前回の記事では、L8直交表の基本的な構造や使い方について詳しく解説しました。今回は、その続編としてL8直交表における交互作用に焦点を当て、より実践的な使い方を身近な例やPythonコードを交えて詳しく解説します。製品開発や料理のレシピ改良など、日常生活でも応用可能な内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。
前回の記事はこちら↓
交互作用とは?
交互作用とは、2つ以上の要因が組み合わさることで、個別の要因単独では見られない効果が現れる現象のことです。たとえば、料理の味付けにおいて、塩と砂糖を別々に使う場合と、同時に使う場合で味のバランスが大きく変わることがあります。これは塩と砂糖の交互作用によるものです。
交互作用の重要性
- 製品開発:新製品の性能や品質向上に役立つ
- 品質管理:不良品の原因特定や改善策の提案に活用
- 料理:食材や調味料の組み合わせで新しい味の発見が可能
L8直交表と交互作用
L8直交表は、8つの実験条件で複数の要因(最大7因子)を効率的に評価できる実験計画法です。交互作用を調べるためには、要因の割り付けを工夫する必要があります。
L8直交表の例
実験番号 | A(温度) | B(時間) | C(調味料) | D(火力) | A×B | A×C | B×C |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 1 | 1 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 |
3 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 2 |
4 | 1 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 |
5 | 2 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 |
6 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 |
7 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 |
8 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 |
- A(温度):低温(1)/高温(2)
- B(時間):短時間(1)/長時間(2)
- C(調味料):少なめ(1)/多め(2)
- D(火力):弱火(1)/強火(2)
Pythonで交互作用の解析
以下のPythonコードでは、L8直交表のデータを用いて交互作用の効果を解析します。
import pandas as pd
import statsmodels.api as sm
from statsmodels.formula.api import ols
# データフレームの作成
data = {
'Temperature': [1, 1, 1, 1, 2, 2, 2, 2],
'Time': [1, 1, 2, 2, 1, 1, 2, 2],
'Seasoning': [1, 2, 1, 2, 1, 2, 1, 2],
'Result': [80, 85, 82, 88, 90, 92, 87, 95]
}
df = pd.DataFrame(data)
# 交互作用の分析
model = ols('Result ~ Temperature * Time + Temperature * Seasoning + Time * Seasoning', data=df).fit()
anova_table = sm.stats.anova_lm(model, typ=2)
print(anova_table)
ANOVA
sum_sq df F PR(>F)
Temperature 105.125 1.0 33.64 0.108693
Time 3.125 1.0 1.00 0.500000
Temperature:Time 3.125 1.0 1.00 0.500000
Seasoning 55.125 1.0 17.64 0.148806
Temperature:Seasoning 0.125 1.0 0.04 0.874334
Time:Seasoning 6.125 1.0 1.96 0.394863
Residual 3.125 1.0 NaN NaN
実行結果の解説
このコードは、温度(Temperature)、時間(Time)、調味料(Seasoning)の交互作用が結果(Result)にどのように影響しているかを分析します。ANOVA表から、どの要因や交互作用が統計的に有意かを確認できます。
料理での交互作用の具体例
例1:唐揚げのサクサク感
- 温度(A):低温で揚げる vs 高温で揚げる
- 時間(B):短時間 vs 長時間
- 調味料(C):塩のみ vs 塩+胡椒
結果:高温かつ長時間揚げた場合、塩+胡椒の組み合わせで最もサクサク感が得られた。これは、温度と時間、さらに調味料の交互作用による効果と考えられます。
例2:パンの焼き加減
- 温度(A):180℃ vs 200℃
- 時間(B):20分 vs 25分
- 材料(C):バターの量(少なめ/多め)
結果:200℃で25分、バター多めの組み合わせが最もふんわりとした食感に仕上がった。
まとめ
L8直交表を活用することで、効率よく要因や交互作用の影響を分析できます。交互作用の理解は、製品開発や料理の改良など、さまざまな場面で役立ちます。Pythonを使ったデータ解析も取り入れることで、より実践的な改善が可能になります。ぜひ、L8直交表と交互作用の分析を活用してみてください。