フィッシャーの3原則とは?無作為化・繰り返し・局所管理をわかりやすく解説!

フィッシャーの3原則とは?無作為化・繰り返し・局所管理をわかりやすく解説!

統計やデータ分析において、実験の設計はとても重要です。適切な実験設計がされていないと、データの信頼性が低くなり、間違った結論を導く可能性があります。
そんな実験設計の基礎となるのが、「フィッシャーの3原則」です。

フィッシャーの3原則は、以下の3つの概念で構成されています。

  1. 無作為化(Randomization)
  2. 繰り返し(Replication)
  3. 局所管理(Blocking)

この3原則をしっかり理解すれば、信頼性の高いデータを取得し、統計的に有意な結果を得ることができます。
本記事では、フィッシャーの3原則をわかりやすく解説し、実生活の例やPythonでのコードを交えて説明していきます!


1. 無作為化(Randomization)とは?

無作為化とは、実験対象をランダムに割り当てることを指します。
なぜ無作為化が重要かというと、バイアス(偏り)を排除するためです。

例えば、ある新しいダイエット食品の効果を検証するとします。
被験者を「健康的な人」と「そうでない人」に分け、健康的な人だけにダイエット食品を与えたとしましょう。
この場合、健康的な人はもともと痩せやすい可能性があり、ダイエット食品の本当の効果が測れません。

そこで、無作為化の出番です!
被験者をランダムに「ダイエット食品を摂取するグループ」と「摂取しないグループ」に分けることで、個々の特性による偏りをなくし、公平な実験が可能になります。

【Pythonで無作為化を実装】

Pythonを使って、実験対象をランダムに2つのグループに分けるコードを示します。

import random

# 被験者のリスト(仮のデータ)
participants = ["Aさん", "Bさん", "Cさん", "Dさん", "Eさん", "Fさん", "Gさん", "Hさん", "Iさん", "Jさん"]

# ランダムにシャッフル
random.shuffle(participants)

# 2つのグループに分割
group1 = participants[:len(participants)//2]
group2 = participants[len(participants)//2:]

print("グループ1:", group1)
print("グループ2:", group2)
グループ1: ['Jさん', 'Cさん', 'Hさん', 'Fさん', 'Gさん']
グループ2: ['Aさん', 'Eさん', 'Iさん', 'Bさん', 'Dさん']

このコードを実行すると、被験者がランダムに2つのグループに振り分けられます。
このように、無作為化を適用することで、公平な比較が可能になります。


2. 繰り返し(Replication)とは?

繰り返しとは、実験を何度も行い、結果の信頼性を高めることを指します。

たとえば、新しい肥料が本当に作物の収穫量を増やすのかを調べたいとします。
もし1回の試験で「収穫量が増えた!」と判明しても、それが偶然の可能性は否定できません。
天候や土壌の状態など、他の要因が影響しているかもしれないからです。

そこで、複数回の試験を行い、結果に一貫性があるかを確認する必要があります。
繰り返し実験を行うことで、偶然の影響を排除し、本当に統計的に有意な効果があるかを検証できます。

【Pythonで繰り返しをシミュレーション】

繰り返し実験の概念をシミュレーションするコードを示します。

import numpy as np

# ダイエット食品の効果を100回シミュレーション(効果が出る確率 60% と仮定)
trials = 100
results = np.random.choice([1, 0], size=trials, p=[0.6, 0.4])  # 1: 成功, 0: 失敗

# 成功率を計算
success_rate = np.mean(results)

print(f"成功率: {success_rate:.2%}")
成功率: 66.00%

このコードでは、100回の試行を行い、成功率を算出しています。
1回だけの実験では信頼性が低くても、何度も試行することでより正確な評価が可能になります。


3. 局所管理(Blocking)とは?

局所管理とは、外的要因による影響を抑えるために、類似した条件ごとにブロック(グループ)を作り、その中で比較を行うことを指します。

例えば、新しい肥料の効果を試したい場合、畑の土壌が異なると結果に影響を与える可能性があります。
そこで、同じ種類の土壌ごとに区分(ブロック)を作り、その中で比較を行うことで、土壌の違いによる影響を抑えることができます。

【Pythonで局所管理を実装】

Pythonを使って、被験者を特性ごとにブロック分けし、その中でランダムにグループを分けるコードを示します。

import pandas as pd

# 仮のデータ(年齢層ごとにブロックを作る)
data = pd.DataFrame({
    "名前": ["Aさん", "Bさん", "Cさん", "Dさん", "Eさん", "Fさん", "Gさん", "Hさん"],
    "年齢": [20, 21, 35, 34, 50, 52, 70, 72]
})

# 年齢層ごとに分類(20代, 30代, 50代, 70代)
data["年齢層"] = pd.cut(data["年齢"], bins=[0, 29, 39, 59, 100], labels=["20代", "30代", "50代", "70代"])

# 年齢層ごとにランダムにグループ分け
data["グループ"] = data.groupby("年齢層")["名前"].transform(lambda x: np.random.choice(["A", "B"], size=len(x)))

print(data)
    名前  年齢  年齢層 グループ
0  Aさん  20  20代    B
1  Bさん  21  20代    B
2  Cさん  35  30代    A
3  Dさん  34  30代    A
4  Eさん  50  50代    A
5  Fさん  52  50代    B
6  Gさん  70  70代    A
7  Hさん  72  70代    A

このコードでは、被験者を年齢層ごとにブロック分けし、その中でランダムにグループ分けしています。
このように局所管理を適用することで、外的要因の影響を減らし、公平な比較が可能になります。


まとめ

フィッシャーの3原則(無作為化、繰り返し、局所管理)は、実験設計の基本であり、データの信頼性を高めるために不可欠です。

  • 無作為化(Randomization):バイアスを防ぐためにランダムにグループ分けする
  • 繰り返し(Replication):実験を何度も行い信頼性を向上させる
  • 局所管理(Blocking):外的要因を抑えるために類似条件ごとにブロックを作る

これらの原則を理解し、実験設計に活かすことで、より正確で信頼性のあるデータを得ることができます!