Pythonで手軽に機械学習!PyCaretの使い方を徹底解説

Pythonで手軽に機械学習!PyCaretの使い方を徹底解説

PyCaretとは?

機械学習モデルの構築には、多くの工程が必要です。データの前処理、特徴量エンジニアリング、モデルの選択、チューニング、評価など、初心者にはハードルが高く感じられるでしょう。

そんな悩みを解決するのが PyCaret です。PyCaretは、数行のコードで機械学習モデルを作成・評価できるオープンソースのライブラリ で、特に以下のようなメリットがあります。

  • コードの記述量を大幅に削減
  • データの前処理やモデル選択を自動化
  • 多様なアルゴリズムを簡単に試せる
  • 可視化機能が充実

本記事では、実際のPythonコードを交えながら、PyCaretの基本的な使い方を詳しく解説します。

PyCaretのインストール

まずはPyCaretをインストールしましょう。

pip install pycaret

PyCaretでの機械学習の流れ

PyCaretを使って機械学習モデルを構築する際の基本的な流れは次のとおりです。

  1. データの準備
  2. 環境のセットアップ
  3. モデルの比較と選択
  4. モデルのチューニング
  5. モデルの評価と解釈
  6. 予測の実行
  7. モデルの保存とデプロイ

それでは、具体的なコードを見ながら、PyCaretの使い方を学んでいきましょう。

1. データの準備

今回は、Scikit-learnの自動車の燃費データ(mpg dataset) を使って回帰モデルを構築します。

import pandas as pd
from sklearn.datasets import fetch_openml

# データを取得
data = fetch_openml(data_id=42726, as_frame=True)
df = data.data
df['mpg'] = data.target  # 目的変数(燃費)を追加

# データの確認
df.head()
Sex	Length	Diameter	Height	Whole_weight	Shucked_weight	Viscera_weight	Shell_weight	mpg
0	M	0.455	0.365	0.095	0.5140	0.2245	0.1010	0.150	15.0
1	M	0.350	0.265	0.090	0.2255	0.0995	0.0485	0.070	7.0
2	F	0.530	0.420	0.135	0.6770	0.2565	0.1415	0.210	9.0
3	M	0.440	0.365	0.125	0.5160	0.2155	0.1140	0.155	10.0
4	I	0.330	0.255	0.080	0.2050	0.0895	0.0395	0.055	7.0

このデータセットには、車の特性(重量、馬力など)が含まれており、それをもとに燃費(mpg)を予測する回帰モデルを作成します。

2. 環境のセットアップ

PyCaretを使う前に、setup() を実行して環境を構築します。

from pycaret.regression import *

# PyCaretのセットアップ
reg_experiment = setup(data=df, target='mpg', session_id=123)

このコードを実行すると、データの型や欠損値の処理方法を自動で検出し、セットアップが完了します。

設定項目が一覧表示されます。

3. モデルの比較と選択

次に、compare_models() を使って、どのアルゴリズムが最も良いかを比較します。

best_model = compare_models()
Screenshot

この1行で、さまざまな回帰モデルを自動で試し、最も性能の良いモデルを選択してくれます。

4. モデルのチューニング

選ばれたモデルをさらに改善するため、tune_model() を実行してハイパーパラメータの最適化を行います。

tuned_model = tune_model(best_model)

これにより、パラメータの調整が自動で行われ、より高精度なモデルが得られます。

5. モデルの評価と解釈

チューニング後のモデルを評価するには、evaluate_model() を使用します。

evaluate_model(tuned_model)

これを実行すると、残差プロットや誤差のヒストグラムなど、さまざまな評価指標をグラフで確認できます。

6. 予測の実行

新しいデータに対して予測を行うには、predict_model() を使います。

predictions = predict_model(tuned_model, data=df)
predictions['mpg'].head()

7. モデルの保存とデプロイ

最後に、学習したモデルを保存しておくと、次回以降も同じモデルを利用できます。

save_model(tuned_model, 'mpg_model')

保存したモデルを再利用するには、load_model() を使います。

loaded_model = load_model('mpg_model')

まとめ

PyCaretを使えば、機械学習のプロセスを圧倒的に簡単に実装できます。本記事では、回帰分析の流れを紹介しましたが、PyCaretには分類(classification)やクラスター分析(clustering) など、多様な機能があります。

初心者の方でも、ぜひPyCaretを活用して、機械学習を気軽に試してみてください!